時間よ、止まれ。
「俺…、9月からS県に転校することになった。」
え…
今、なんて…?
頭の中に冷たいものが流れていった気がした。
昼間より涼しくなったというのに、何故か汗が何筋もタラタラと流れてきた。
「父さんが急に転勤することになって。…俺はここに残ってM高行くって言った。でも、もう引っ越すって決めたからって…。父さんと殴り合いのケンカになったけど、それでも無理だった。」
優祐は下を向きながら、淡々と話した。
「優祐…。」
私も何となく、視線を地面に落とした。
「さおり。ごめん。新学期から、たぶん、もう、会えない…。」