時間よ、止まれ。



「さおり。」




ずっとつないでいた、優祐の温かい手に引っ張られて、私は立ち上がった。




「帰ろう。送るから。」




そのまま私達は、軽くキスをした。




薄暗い中、柔らかい感触が唇に触れる。




胸の鼓動と共に、熱い想いがこみ上げてくる。




きっと…



もう、味わうことのない気持ち。





そう。

これが私達の
最後のキスだった…。





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