時間よ、止まれ。
それから…
木枯らしの季節を飛び越えて、短かった昼間が再び長くなり始めた頃
春の暖かみが感じられるようになったこの日、私達は中学卒業を迎えた。
無事に卒業式を終えた私達は、最後にグラウンドに集まって、友達や先生などと記念写真を撮ったりしていた。
「井上さん」
卒業証書の入った筒を持って何となく手持ち無沙汰にしていると、私を呼ぶ女の人の声が聞こえた。
振り返ると、見覚えのある背の高い美人が立っていた。
この人は確か…
忘れもしない…
かつて優祐の近所に住んでいて、私と優祐が付き合う前はいつも優祐の隣にくっついて騒いでいた…
あの
斉藤由歌梨だった。