時間よ、止まれ。
「私、アメリカに彼氏いるの。春からアメリカの高校に留学するから。だから、優祐をお願いね。」
笑顔で両手を顔の前で合わせる姿も、男子にとっては可愛く映るのだろう。
しかし…
お願い、と言われても…。
本人、いないし。
ところが、斉藤さんは私が困惑している様子など全く気付かず、次の瞬間、私に向けて手を振った。
「じゃあね!卒業おめでと♪」
「え…!?」
お…、終わり?
全然、意味分かんないんだけど…?
斉藤さんの無邪気で可愛い笑顔は、唖然とする私を置いて、友達らしき別の人の元へと消えていった。