時間よ、止まれ。



私と華恵が市川くんに駆け寄ると、市川くんは懐かしい、穏やかな笑顔を私に見せてくれた。




「井上さん、本当に久しぶりだよね。短大だから、もう春には卒業だろ?」




私もまるで心が中学高校に戻ったようで、嬉しくなった。




「うん、そう。地元の本屋さんに就職が内定したよ。市川くんは、地元久々じゃないの?」



「だね。遠いし授業忙しいから、全然こっちに帰れないよ。ずっと地元の井上さんがうらやましいなぁ。」




そんなことを言いながらも、充実した生活ぶりが、市川くんの生き生きした表情から伝わってくる。





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