時間よ、止まれ。
「新井くん、ガード堅いよね。」
買い出しに出掛けた帰り、俺の横を歩くマネージャーの松浦さんが言った。
松浦さんは、明るくてハキハキしていて、なおかつ部員には可愛いと評判らしく、サッカー部のマスコット的存在だった。
けど、俺は松浦さんには特に興味はない。
…というか、K高校の女子は全員興味がなかった。
「…まあな。」
中学の時もだったが、K高校でも何故か俺は女子に言い寄られることが多かった。
告られるたびに断っていたら、いつの間にか「新井はガード堅い」ってウワサが立ったみたいだ。
「新井くん狙い、かなり多いんだよ?知ってた?」
「へぇ…。でも俺、好きな奴、いるし。」
俺がめんどくさそうに言ったその言葉に、松浦さんはびっくりしたようだった。