時間よ、止まれ。
見ると、新井の顔や身体は汗だくで、髪の毛も濡れていた。
でも、勝利したおかげか、爽やかな笑顔で、男臭いカッコ良さを感じた。
「井上の声、聞こえた。ありがとな!」
いつものニヤリとした意地悪な笑顔とは違う、純粋な笑顔。
それが今、私だけに向けられている。
嬉しい!
嬉しいけど…、
「いい試合だったよ。じゃ、明日、学校でね。」
何で私、素直になれないんだろう…?
また素っ気なく言ってしまって、その場にいるのも辛くなって帰ろうとした。
…その時。