時間よ、止まれ。
「なぁ、『さおり』って呼んでいい?」
日が陰ってきて
私達はカフェを出て、帰路についた。
その途中、突然新井にそんなことを言われて、私は今日一番のドキドキを感じた。
男子に下の名前で呼ばれるのは、初めてだったから。
でも…
『彼氏』なんだから、当然だよね…?
「うん。」
「やった!じゃあさおりは俺のこと、『優祐』って呼んで?」
「え…」
何か、『新井』で慣れてたから…
やっぱり恥ずかしいかも。
「…嫌?」
「ううん…」
そんな、小型犬のようなウルウルした瞳で、私のコト見ないでよー。