君と私の最後の3分
屋上には誰もいなかった。
よかった。

一人の屋上…

ここから飛び降りたら、本当に死んでしまうのかな。
そんなに簡単に、命なんて消えてしまうのかな…
お父さんの命も…簡単に…


なんてね!私らしくないっ!
きっとこの事を思い出したら…きっと泣いてしまうから…



ガチャッ
唯一古い屋上のドアノブを開ける音。
いっくんかな?

「ごめんゆきの!遅れた!購買が混んでてさ…」

「ううん、大丈夫。さっき来たとこ。」

「そっか。…じゃあ、食べよ!」

「うん。」

食事の時って、話題に困るよね。
つい無言で食べちゃう…
いっくんは恥ずかしがり屋だし、きっと心の中では喋りかけようと思ってる。そんな人。

「あ、いっくん」

「ん?」

「今日は、一緒に帰れる?」

ほぼ毎日一緒に帰ってるけど、いっくんは運動部のバスケ部。
どうしても帰りが遅い日は、いっくんのゴリ押しで先に帰らしてもらってるけどね。
私は待っててもいいんだけど…

「今日は少し早く終わりそうだけど、どっちみち美術部より遅いよ?」

「いいよ!待ってる。終わるの何時ぐらい?」

「6時かな〜。今日は早く終わりそうだし。

「わかった!じゃあ教室で待ってるね。」

「うん。帰るの、楽しみだな。」

「私も!」

そんなこと話してる間に、二人共食べ終わっちゃった。

「じゃあ…また後でね!」

いっくんはニコニコ笑顔で手を降る。
私はそれに応えて手を降る。


それが私達だった。
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