春恋　-Harukoi-
先生と美月
―美月視点



むかつく。

恵麻のやつ。

ダブル難波から好かれてんじゃん。

「許さない」

壁にかかれたこの文字を見つめて一人ほくそ笑む。



私と難波は昔付き合っていた。

けど恵麻が好きだって言われてふられた。

ショックだったけど恵麻だから許した。

なのにその恵麻もふるってどういう精神してんの！？

せっかく恵麻から告ってきたんだよ？

私はそれが聞きたくてＳＨＲの時間ギリギリまで司書の先生に話を聞いた。

「―というわけなんだけど、どういうことよ」

先生だろうが関係なしに話す。

「心疾患。」

「は？」

「だから、あいつ心疾患なの」

それから聞いた。

恵麻のことは好きだけど、死ぬ自分と付き合っても恵麻は悲しむだけ。

でも本当は何より自分を心配する恵麻が怖いんだ、って。

意味分からない。

怖いから、死ぬかもしれないから、大事な日々を好きな人を過ごしてもいいんじゃないの？

嘘だよね、大和。

恵麻は知らないけど私は今知ったよ。

会いに行ってもいい？
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