春恋 -Harukoi-
あれから一年が経とうとしていた。

私は友達と西南高へ入学。

以来難波とはメールも一切しなくなっていた。

それぞれの道があるのは分かってるが、

今思えば

その程度の仲だったんだって思う。

「ねえ恵麻。」

売店で買ったパンを頬張る。

「え?」

私の表情がこわばっているのを見た美月が言う。

「難波、のことだよね・・・恵麻。」

美月なりに気を使ったんだろう。

あの日から私が抜け殻になってしまったこと。

そしてなにより



あれを機に難波がこの町から出て行ったことについて。
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