春恋 -Harukoi-
「恵麻は気にしなくたっていいんだよ?前から引っ越すかもしれないって言ってたって・・・。難波の友達から聞いたし」

分かってる、

それも分かってる。

でも責任を感じてしまう。

私が告白したとき、難波はどう思っただろうかって。


もしそれが負担になってしまっていたらって。

「ありがとう、美月」

それを聞いた美月は少し笑顔になった。

そうだよね。

美月にまで迷惑をかけてしまってはいけない。

そう決めると最後のひとかけらのパンを口に入れた。

「ねえ恵麻、今日司書の先生きてたんだった!恵麻もくる?」

今思いだしたのか、慌てて後片付けをしている。

美月はイケメン好きだ。

「あー...。私はあの先生苦手だからいいよ」

司書の先生。

西南高の自慢の一つと言ってもいいほど人気で、

図書委員希望者がやたらと多いのもそのせいだ。

でもなんだか裏がありそうで私は近づけない。

「分かった、SHRまでには戻るから」

それだけ言うと、

他の子には負けない!とでも言いたいのか、険しい顔で教室を出た。



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