春恋 -Harukoi-
やまと?

「あーあのさ、久しぶり。オレだよオレ。あーっと...え?オレだって。だーから難波雄斗!」

難波雄斗?

ってことは・・・難波大和?

「まさかね」

小さい声で呟いて、また戻る。

でもやっぱり気になって聞いてしまう。

「んで母さんはどう?は?オレ?元気ですが(笑)」

「あー司書のほう?よくわかんねーけどやってる」

司書ってことは・・・

「あの、西南高校の先生ですか?」

いきなり喋りかけられてびっくりしたのか、

一瞬体が止まってからこっちを向いた。

「ちょっとごめん、後でまたかけ直すわ」

今思うとなんで急に話しかけたのだろう。

でも今でも言えることはただひとつ。

確かめたい。

難波を知ってるのか。

「そうだけど、なに?」

うわー機嫌悪そう。

でもあの司書の先生って難波っていうんだ。

なんか近寄りがたいから避けてたけど、こりゃ人気のでる顔だ。

「あ、あの。難波大和さんって知ってますか?知り合いですか?」

唐突すぎたかな

というかこれで違ってたら恥ずかしい。

「知り合いっていうか・・・兄弟だけど」

は?

驚きを隠せない。

難波と全然似てない。

「あっ、その。私の話聞いてくれますか」

本当に謎、という顔で私を見ていた司書の先生は

ふっと笑って携帯をしまった。

「いいよ、けど面倒だからここでね」

< 7 / 17 >

この作品をシェア

pagetop