春恋 -Harukoi-
「―まじかあ」

今度は申し訳なさそうにこっちを見る。

先生のことじゃないのに。

「でもさ、大和が引っ越すことになったのは西本のせいじゃない。これだけは分かる」

ずっと聞きたかった。

私のせいじゃないんだ。

「よかったです。けど、何故引っ越したんですか?」

これも聞きたい。

「あれ?聞いてなかったか?大和、病気なんだよ。近くにでかい病院あったほうがいいし、引っ越しってわけ。」

「病気・・・ですか」

理解するより先に口が動いた。

ありえない。

「オレには平気平気、すぐ退院できるわ。とか言ってるけどさ、嘘バレバレだっつーの」

笑ってるのか泣きそうなのか分からない顔でうつむいている。

私が勝手にヘコんで、しかも美月に迷惑かけて、その間に難波は病気と戦ってたのに。

「で、なんの病気なんですか?」

さすがに人の事情に入りすぎだと思う。

けどずっと悩んでたことが今日、今、ここで終わることができるのなら・・・。

「それは言えない」

「え?」

「それより西本、お前は難波家の一員じゃねーんだからそう入ってくんな、な?」






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