修羅は戯れに拳を振るう

その名は既に世界的に有名になりつつある。

早川 龍娘（はやかわ ろんにゃん）。

4000年の歴史を持ち、数多の流派ある奥深き中国拳法。

その中から実戦向けの有効な技と流派を選別し、組み合わせ、一つの流派として築き上げた天才拳法家。

南拳北腿と言われ、平原が多い為に移動や跳躍や蹴りの多い武術が発達し、腿、即ち蹴りを多用すると言われている北派と、川を船で移動する事が多く狭い場所・揺れる場所でも練習できる武術が発達した拳、即ち手や腕を多く用いる南派の両流派をも統合し、広大な中国大陸に存在する数多くの武術（ウーシュー）のエッセンスを凝縮した流派を僅か一代にして興した。

その流派は『龍娘流中国拳法』として広く知られる。

龍娘自身が教師をしていた事もあり、その拳法は教え子達に伝えられ、その教え子達がまた道場を開いて後進に伝える。

更には龍娘の長男がエージェントとなって護身術としても有効と証明した為、遠くロシアの地にあるロシア大統領直属の国家保安組織『インフィニティ・セクター』の制式格闘術としても認められ、『マスター・ロンニャン』の名は世界中の軍隊、警察、特殊部隊、治安組織などにも知られるようになった。

いまや天神地区の名だたる名家のみならず、国内外の財閥や大富豪達も、龍娘流を護身術として身に付けたいと、龍娘本人に教えを請いに来るほどだ。

先に格闘特区に訪れた鬼龍や龍太郎も、全てこの龍娘の弟子といえば、その実力は窺えるだろう。