修羅は戯れに拳を振るう
かといって、彼女が不良娘かというとそうでもない。

高校では成績優秀品行方正文武両道容姿端麗で知られる優等生。

路上の喧嘩が合法とされるこの格闘特区において、莉々は非の打ち所のない生徒だ。

まさにパーフェクトという言葉が相応しい。

問題があるとすれば、莉々が完璧過ぎて、つり合う男がいないという事。

生半可な男では莉々の強さにはついて行けないし、彼女の父親であるORIHA社長も首を縦に振らないだろう。

格闘特区で最強の名を恣にする莉々では、この国のどこに行ってもつり合う男などいないかもしれない。

(いっそ天神地区や倫敦市に出向いて花婿探しでもしようかしら。あそこには人間離れした連中がワンサカいるって話だし)

いや、それでも莉々の強さについて来れる者はいないだろう。

彼女は自身の強さに絶対の自負を持っていた。

< 12 / 180 >

この作品をシェア

pagetop