修羅は戯れに拳を振るう
修行を続ければ、力はつく。

技も身に付く。

努力と修練は必要だが、そこまでは誰でも可能。

人殺しの技も、誰にでも使えるようになろう。

…人とは弱いものだ。

強い武器を持てば、必ず使いたくなる。

試してみたくなる。

その弱さを、武道の本質などと摩り替えて、誤魔化して、免罪符とする。

己の行為を正当化しようとする。

「それを制する心、それを抑える精神力こそが、武道の本質。心身を鍛えるのはその為だ。技と力を鍛えただけでは、武道家とは呼べない」

龍宇は真っ直ぐに修羅を見た。

「修羅、お前は武道家ではない。ただの人殺しに過ぎない」

言い放った龍宇。

「そして俺こそが」

龍宇は構えた。

「真の武道家だ」













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