修羅は戯れに拳を振るう
格闘特区市街地にある、チャイナタウンの酒家に到着。

だが、酒家は騒然としていた。

一人の男が、数人がかりの店員に運び出されている。

「どうかしたの?」

莉々が店員の一人に訊ねる。

「いえ、ストリートファイトなんですが…」

店員は眉を顰めて言う。

「お恥ずかしい話なんですが、ウチの用心棒がやられたみたいでして…」

「ええっ?」

莉々が思わず声を上げる。

この酒家の用心棒、洪 小狼は、格闘特区のストリートファイトのオッズランキングでも上位ランカーだった筈。

彼を倒せる闘士など、この街にそう多くはなかったのだが。

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