修羅は戯れに拳を振るう
酒家の店員から聞いた話を思い出す。

相撲部屋の親方が、弟子を倒された腹癒せに莉々を探しているらしい。

となると、ご挨拶は受けるのが筋というもの。

駅を出た莉々の足は、相撲部屋のある区画へと向かう。

あの辺りは相撲部屋以外にも、数多くの格闘技のジムや道場がある。

楽しめそうだ。

これから屈強な男と闘う事になるというのに、鼻歌混じり、ご機嫌の体で歩いていた莉々は。

「あら…」

路上に引っ繰り返っている、肥え太った大男を見つけた。

それが件の親方だと知ったのは、すぐの事だ。

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