修羅は戯れに拳を振るう

殺しの業を仕込まれた男

場所を変え、龍宇、莉々、龍太郎の三人は近くの公園に来ていた。

既に時間は深夜になり、こんな夜更けに人はいない。

遠くでストリートファイトの喧騒が聞こえる中、三人は話していた。

「俺に身寄りはない。物心ついた頃には、両親はなかった」

龍宇は静かに語り始める。

「龍宇さん可哀相っ、私でよければ本当の家族にっ」

「莉々、口挟むな」

口走る莉々の後頭部を、龍太郎がペシッと叩く。

龍宇は続ける。

「両親は、どういう事情でいなくなったのか知らない。死別か、俺を捨てたのか、やむにやまれず手放したのか…とにかく俺は山中に捨てられ…そこを師匠に拾われた」

「師匠？」

龍太郎が問い返す。

「…俺に闘い方を教えてくれた師匠だ」

龍宇は答えた。