鬼部長の素顔
『勝手に借りました』
そう言って部長にカップを渡す
「ん。いや、俺こそ悪いな」
あ……謝られた!
部長が私に謝った!!
これは、なんだ?
嵐の前触れか?
その時、お知らせ音が鳴った
その音に私は反応して動き出す
洗濯が終わった音
洗濯物を取り出し洗濯物を干す
別に部長のパンツ見てテンパる訳ない
中学生の頃から高校卒業するまで
忙しい両親に変わって家事は
ほとんど私がやっていた
父や兄の洗濯物も……
「なぁ?」
部長の存在を忘れていた私
マグカップを持ったまま
脱衣室の入り口に寄りかかっている部長
『……あっ!…すみません。勝手になんでもやってしまって……』
もしかしたら嫌だったのかもと
頭を下げて謝った