鬼部長の素顔


私の頬に触れた手は
私の頭に触れた


「……ふ、思い出した?」



……え?
きょとんっとしていたら



「可愛い」


柔らかく笑う部長の顔
その言葉が頭の中に入ってきた
なに?私が言われたんだろう…

けど、いつ?誰に?
…………部長?


私の頭はぐるぐる回っていた
思い出させそうで、思い出せない


部長を見れば、優しい目で私を見ている


あっ………
この瞳、知っている。


「ダメか?……なら思い出させてやる」


そう言って私を抱きかかえた


『ぶ、部長っ!ちょっと、な、な……』


お、お、お姫様抱っこだっ!
何が何だかわからず
手に持っていた洗濯物をぎゅっと握る
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