鬼部長の素顔



何度も名前を呼ばれた


「優子……」



何度も名前を呼んだ


『隼人さん…』





しがみつくように抱き合い
にじむ汗も気にせず
何度もキスを交わした



こんなこと
生まれて初めてで
自分も、こんなことができるんだと
初めて知った



経験が浅い私には
もう、何かに耐えるのは無理だと感じ
部長にしがみついていて


『離さ……ないで』


そう言葉にしていた



部長がそれに答えてくれたけど
その言葉は私の耳には届かず
私は意識を手放していた

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