鬼部長の素顔



部長の膝の上に
抱きかかえられるように座らされた



「優子は……彼氏いるのか?」


まさかの質問に私は首を横に振る


「いないのか、なら安心だ」
「優子は……あんまり経験ないのか?」


直球に聞いてくる質問が恥ずかしい
もぞもぞし、下を向いたまま


『い、今まで……二回しか……』


早希と麻耶先輩以外に
そう言う話をしたことがない
もちろん……男性にはない
恥ずかしさもあり泣きそうだ


『あ、あの。ごめんなさい』


そう思って、出た言葉
2回なんて、幻滅したんじゃないか
不安にもなる

けど、部長は私をぎゅっと抱きしめて


「謝る必要ねぇだろ、逆に経験豊富な方が俺は苦手」


耳元で聞こえる部長の声がくすぐったい


「知らないほうが、教え込みやすいし……何よりも俺に染まりやすい」



……え?
今、なんと?

それって……
恋愛漫画とかでイケメンが
女を口説く時に言うセリフ

まさか、それを言われるなんて
全く思ってもみなかった

「……教えてやるよ…」


そう言われると、抱きしめていた腕が緩み、私の目を覗き込んできた

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