鬼部長の素顔


『お……重いっ』


前が見えないくらいのファイル


『鬼じゃなくて……悪魔だ』


独り言を言ってたつもり


「わかる。あいつは仕事の亡者だ」


そんな声が聞こえたと思ったら
今まで重かった資料が軽くなった


「お疲れ様、優子ちゃん」


その人は……


『開発部の白井さん!』


「お?俺の事知ってくれてるなんて嬉しいね、さすが優子ちゃん」


知ってるも何も……
檀野部長と同期のイケメンさん
いつも優しくて爽やかで……
檀野部長とは対照的
しかも、麻耶先輩の彼氏だと昨日知ったばかりだから、私の中では一番の話題人


『白井さん、悪趣味ですからあーいうの、やめてください』


私の言いたい事がわかったのか
白井さんはニヤッと笑いながら


「いやいや、だって、まさか真っ暗な中、誰かが逢引……」



嘘だって言いたかったけど

『白井さんっ!』


それ以上、言って欲しくなかった


私の反応にクスクス笑っている白井さん
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