鬼部長の素顔


「あ?」



ひっっっ!
なんですか、その脅すような顔。


『……いえ、暇です』



「だろ?俺はこれから出掛ける。戻りは夕方……定時は確実にすぎる。だからコレ頼んだ」


そう言って、檀野部長の机の隣にある簡易テーブルに並べてあるファイルを指した



……は?コレ?……なにっ!?
全く意味がわからない
部長は鞄の中に必要な書類なんかを入れ
立ち上がり椅子にかけていた上着を手に取っていた



『ぶ、部長っ!待ってください。なんですか?ちゃんと説明してください』


私の声が届いているはずなのに
全く動きを止めない檀野部長
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