鬼部長の素顔
「はぁ……行きたくねぇな」
独り言のように言う部長が可愛い
『隼人さん、いってらっしゃい』
そう言って、口づけをした
部長がいつも、私にしているように
ちゅっ、と軽く
部長の顔が真っ赤になるのがわかった
『私、行きますね』
恥ずかしそうにしている部長を残し
私は改札を通った
改札を通り少し歩いたところで振り返った
部長はまだ恥ずかしそうに
顔を片手で覆ってた
私が手を振れば
小さく手を振って返してくれた
『いってらっしゃい』
笑顔で別れた二人
私の心は満たされていた
けど、自分の体の変化に気がつくのは
それから数週間後の事だった