鬼部長の素顔
驚きと嬉しさが入り混じって
私の目から涙が溢れる
「馬鹿か、お前は。」
部長は私を抱きしめて
おでことおでこを
コツンと軽くぶつけてきた
「なんで、すぐ言わなかった?」
『……だって…』
「ん?」
『い、嫌じゃないですか…付き合ってすぐ妊娠なんて……』
「驚いた。だからってなぜ別れる前提なんだ?しかも実家に帰って一人で育てるだと?わけわかんねぇ」
ちょっと怒ったように
頭にちょっと強めの、ゴツンときた
「俺達の子供だろ?」
『……はい』
「俺が父親で不満か?」
『……ヒックっ……いいえ』
「俺が旦那で嫌か?」
『んっ……ふえっ…。……いいえっ』
「なら問題ない」
『けっ。けど。部長…私なんかと…』
部長?なんで、あなたは
そんなに優しいの?