鬼部長の素顔
「俺の父親は10年も前に他界している。母親は小さなスナックをやってる。そこに姉貴もいるはず」
『部長のご実家はどちらですか?』
「埼玉」
「……てか、メモってどうすんだよ」
私は仕事中は
いつも書き留めれるようにと
制服のポケットにペンとメモ帳をいれている
それが癖で、家にいてま
テーブルにメモとペンを置いてしまう
『ふふ……いいんです。……私の家族は北海道で旅館をしてます。兄がいますが結婚して親の手伝いというか、後継ですので一緒に暮らしてます』
「北海道のどこ?」
『登別です』
「へぇ、有名どこじゃねぇか」
私たちはお互いのことを知らさすぎる
結婚に必要な最低限のことすら……
だから、話さないと……
「……挨拶にいかねぇとな」
部長は鞄から手帳を出して
スケジュールを見ていた時
私の中で、上がってくるものがあり
急いでトイレに駆け込んだ