鬼部長の素顔



部長は、来月に纏まった休みが取れるから、2泊しようと言ってくれた。
しかも、うちの旅館に泊まるという


プルルルルルー

呼び出し音が鳴る
変な手汗が半端ない。



「優子?どうした?」


久しぶりに聞くお兄ちゃんの声
結婚してからお兄ちゃんはお嫁さんに怒られたようで、電話がすっかり少なくなった


『うん……ちょっとね』


「なんだ、兄ちゃんの声が聞きたくなったか?うんうん、素直でよろしい」


相変わらずのお兄ちゃんで
ははっと笑ってしまう

目の前にいる部長が……睨んでくる
早く言えっ、と……。


『あのね…来月ね、帰ろうかと思ってるの……それでね…部屋をね…』


そう言うとお兄ちゃんは嬉しそうに


「おっ!いいぞっ!友達と旅行か?何人だ?何泊するんだ?」


『うん、二泊…。私と二人。……お父さん達に会えるかな?』


「ああ、会える。……優子、二人って女友達か? 」


お兄ちゃんは何かを察知したのか…
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