鬼部長の素顔
フロアが真っ暗な中
一か所だけ電気が付いている
書類に目を通しているんだろう
そして、初めて見た部長のメガネ姿
なに……あれ。
嫌だ………ドキドキした
幾つかの書類に目を通し
何やら書き加え、また別の書類に目を通す
こんな遅くまで……
『……部長、何か飲まれます?』
私が声を掛けると
ちょっとビックリした顔をした
「起きたか?いきなり話しかけるな」
『あ、すみません。あと、寝ちゃってすみません』
ゆっくり部長に近づいた
上着を返してお礼を言った
『何か手伝えることありま……、ないですね、私みたいな出来損ないに……』
何かあればと思ったけど
いつも足引っ張ってばかりの私が
何かすれば、それ以上に仕事が増えるだろう