鬼部長の素顔


フロアが真っ暗な中
一か所だけ電気が付いている


書類に目を通しているんだろう
そして、初めて見た部長のメガネ姿


なに……あれ。
嫌だ………ドキドキした



幾つかの書類に目を通し
何やら書き加え、また別の書類に目を通す


こんな遅くまで……




『……部長、何か飲まれます?』


私が声を掛けると
ちょっとビックリした顔をした


「起きたか?いきなり話しかけるな」


『あ、すみません。あと、寝ちゃってすみません』



ゆっくり部長に近づいた
上着を返してお礼を言った


『何か手伝えることありま……、ないですね、私みたいな出来損ないに……』


何かあればと思ったけど
いつも足引っ張ってばかりの私が
何かすれば、それ以上に仕事が増えるだろう
< 21 / 344 >

この作品をシェア

pagetop