鬼部長の素顔


部長の家庭は10年前にお父さんが亡くなっている
それからはお母さんがお父さんの代わりもしてる…
今の言葉も、一家の主人の言葉に聞こえる


『……正直、予定にない妊娠でした。それに、隼人さんとお付き合いして、まだ日が浅いんです。だから不安です。何もかも……。けど、私の中でおろす選択肢は初めからありませんでした』

『やりたい事とか……ないわけじゃないです。けど、お腹に隼人さんとの子供がいるってわかった時点で、どうでも良くなりました……ははっ』

『……もし、隼人さんがおろしてくれって言われても、産むつもりでしたから。だから後悔とかしません。』


そう言うとニコッとお母さんは笑ってくれて

「隼人は、大事にしてくれてる?」


『はいっ!忙しいのに毎日必ずアパートに寄ってくれます。私が悪阻で吐いてると、必ず背中をさすってくれるんです。……あ、けど仕事は変わらず鬼なんですが…』


「誰れが鬼だっ!?」


はっ!!
しまったっ!!
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