鬼部長の素顔
「さて、ケーキでも食べる?」
麻耶先輩の言葉に
部長と直斗さんも動き出した
え?……いや、私が用意するのに……
「優子は座ってて」
私が立ち上がろうとすれば阻止される
病人じゃないのに……
麻耶先輩がケーキの用意を、
白井さんが電気を消し……
ってか、電気を消すって
まさかロウソク立てるとか?
さすがに引越し祝いなのに
それはないでしょ?
あれ?部長がいない。
薄暗い部屋の中、部長を探しても
どこにいるか、探せない
少しだけ不安になれば
ポワッと、ロウソクの灯りが……
「「ハッピバースディ、優子」」
……えっ。
私の前に置かれたケーキ
チョコレートプレートには
【Happy Birthday ゆうこ】
そう書かれていた