鬼部長の素顔
『麻耶先輩、白井さん。ご迷惑かけてごめんなさい』
そう頭を下げれば
部長はホッとしたような顔して
私に手を差し伸べてくる
いつもなら、その手を
無条件で掴むだろう
私は部長の前に立つ
『出張、お疲れ様。……おかえりなさい』
笑顔で言った……つもり
けど、やっぱり不安なのは出てしまう
「優子……悪かった」
別に謝って欲しいわけじゃない
ちゃんと話して欲しいんだ
『隼人さん、家族でも……隠し事はあっていいと思います。けどね、言わなきゃダメなことはあります。それを隼人さんじゃなく、他の人から聞かされた……私の気持ち、わかりますか?……私は……隼人さんの何ですか?』
私はあなたのなに?
言葉に出せば、目頭が熱い
泣きそうになる、口元をぎゅっと
結んで、それを阻止する