鬼部長の素顔
『隼人さん、可愛い』
「小さい頃は可愛かったのに、いつの間にか、色気付いちゃってさー。」
澪さんが懐かしそうにページをめくる
「あの子ね、大学もここから通っていたの。大学の近くに部屋借りなさいって何度も言ったんだけど、私たちが心配だったんだと思うの。変に責任感があったから、私と澪を主人の代わりに守ろうとしたんでしょうね」
うん、わかる。
部長はちゃんと考えて……
ちゃんと……考えて……、
私のこともちゃんと考えてくれてた
最後に見た部長の姿
入社して……夫婦になって
今まで、見たことがない姿だった
あんなに焦った顔
私を見たときの安堵の顔
なのに、私は話し合おうともせず
私は嫌なことを言ってしまった
今更ながら……とても後悔
「優ちゃん、大丈夫。あの子には優ちゃんが必要なの……優ちゃんの隣にいるあの子の顔は、本当に幸せそうだもん」
お義母さんの言葉に
澪さんも頷いた