鬼部長の素顔
どうせ遅いんだからと
澪さんとお義母さんに脇を固められ
休憩も挟みながら
たくさん歩いて、たくさん買い物して
たくさん笑った
「買いすぎたかしら?」
『うっ……すみません、』
三人でも両手に持てないくらいの荷物
しかも、それを全てお義母さんが支払ってくれた
「いいのよ、これはあの子のお金なの」
ん?部長のお金?
私が首を傾げると、
「あの子ね、働いてからずーっと仕送りしてくれてたの。けど、私も働いてるし、主人が残してくれたものもあるし、必要ないって言ったんだけどね……」
ずっと?……なんか意外だった
「優ちゃんと結婚するって言った後も、普通にお金が入ってたから、さすがに驚いちゃったけど」
部長……どうしてあなたは
そんなに家族想いなんでしょうか?
私も、その家族の一員って
思ってもいいのかな?
バス停から5分、家が見えてきた
今は8時過ぎ、まだ部長は仕事してるんだと思っていた