鬼部長の素顔



『……隼人、さん』



誰もいない家の前に
車を停め、車に身体を預けて
煙草を吸っていた


久しぶりに見た、タバコ吸っている姿
そういえば、家もだけど
私の前では吸ってない

会社では吸ってるだろうけど
いつもの喫煙所では見たことがない


「あらやだ、思ったより早かったわね」


澪さんは気にせず
そのまま家へと向かっていく


私達に気がついた部長は
タバコをすぐ消して、私に駆け寄った



「優子っ、こんな時間まで……疲れてないか?なんだこの荷物、貸せっ」


は?
なんか、怒ってるのか
優しいのか、よくわかんない


けど……
いつもより早い時間
スーツなのに車、一度家に帰ってから
車に乗ってきたってことか?

ならもっと早い時間に会社を出たってこと?仕事、大丈夫なの?


けど、私の荷物を持ちながら
何買ったんだ?買いすぎだろ、
なんて、ブツブツ言いながら
荷物を持ってくれた
< 296 / 344 >

この作品をシェア

pagetop