鬼部長の素顔



『す、すみませんでしたっ!』



新しいワイシャツに着替えてきた部長
念のためにと、替えのワイシャツを常備してあったのが幸い


私の手にはココアまみれになったワイシャツ


あー……最悪だ


『クリーニングして、返します』



「……当たり前だ」



ひぃっっっ!
何度も頭を下げて、自分の席についた



はぁー……もう嫌だ
ため息をつきながら、机に倒れこむ


「気にしないのっ。事故なんだから」



隣の席の麻耶先輩が
私を慰めてくれた



『麻耶先輩……鬼は事故にあっても無傷なんですね……』


極力、小声で言ったつもり
だけど……



「ほぅ……鬼ってのは誰だ?」


項垂れている私の背後から声がした
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