鬼部長の素顔
『三年という月日でしたが、お世話になりました。』
頭を下げれば、フロアから拍手が湧き上がる
麻耶先輩から綺麗な花束を受け取ると
これで終わりか、と実感し
我慢していた涙が溢れ出す
「お疲れ様」
「がんばってね」
「生まれたら教えろよ」
「部長と喧嘩したらみんなで加勢する」
さすがに笑ってしまった
当の本人は、みんなの輪から離れて
私たちの様子を見ている
「部長からもなんか言ってくださいよー」
なんて、言われたりしていたが
さすがにそれは恥ずかしいと思い
『だ、だ、大丈夫ですっ!』
そう断ったら、みんなに笑われてしまった
うっ……、今までみんなの前で
上司と部下で頑張ってきた
けど、最後だと思ったら
自分がどうにかなるんじゃないかと思う