鬼部長の素顔
みんなに押され、無理やり部長と向き合う
ははっ……と、
お互い苦笑い
けど、部長はコホンっと咳払いをし
「柿崎」
懐かしい響き……
入社してから、ずっと、ずっと
呼ばれる響きが大好きだった
今までのことが、思い出される
「今日まで、よく頑張った。今までたくさんの部下を教育してきた、いろんな意味で……お前が一番だった。どんなに怒鳴っても泣かない、俺の事を鬼といい……こりに懲りず何度も同じミス……」
次から次へと部長の口から
私の失態が出てくる
みんなはクスクス笑い始め
私は流していた涙もピタッと止まり
だんだん、恥ずかしくなってきた
『部長っ!!』
悪口とも捉えられる言葉を
やっと止まり、部長の口元が上がった
「……それでも、明日から柿崎がフロアにいないと思うと、寂しいのは確かだ」
うっ……なんなの、この鬼っ。
「柿崎が俺の部下でよかった」
そう言って、私の頭を撫ぜてくれた