鬼部長の素顔


出発の日……
会社の人たちも見送りに来てくれた


部長のお母さんも澪さんも。
本当に引っ越すんだと
今更実感すると
勝手に流れる涙



「優子」


優しく私の手を握ってくれる部長

うん……大丈夫


部長と……
隼人さんと二人なら、大丈夫



『行こっか』


みんなに手を振る
最後の別れみたい……


「遊びに行くからっ!」



ボロボロ泣いている麻耶先輩
麻耶先輩の肩を抱き支えてる白井さん


『白井さん、麻耶先輩のこと……お願いします。泣かせたり傷つけたりしたら、許しませんからっ!』


そう言って大きく手を振る
私は隼人さんと二人、歩き出した……



「俺たち、意外と愛されてたんだな」


『はいっ、幸せ者ですね』


部長の目にも光るものがあった
思えば、こんな事は初めてかも……


私は部長の手を握る
それに気がついて、部長は私の方を向き
目を細くして笑ってくれた。
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