鬼部長の素顔



『は……隼人さん……、手、痛いでしょ…離していい……うっーっっ、』



会話が出来るのも少し
息を整えるのも大変


「まだ活きんじゃだめよ」


なんて言われるけど、無理無理



「優子、頑張れっ。俺の手なんか気にするなっ、大丈夫だ。」



頑張れない……うーんっ。





「檀野さん、そろそろいきますよ?」


いきますって、なんだよっ
そう思った次の瞬間
また痛みが走る


「イキんで!」


んーーっ……
活きんだ所で痛みが和らぐわけでもない

だ……だから、
もう……無理だって……



「深呼吸して……」
「行くよー…………イキんでっ」


んーっっっ…
もう……限界……だよ



「はい、出るよ!」
「ご主人、こっち」

「檀野さん、もういいよー」


もういいってなんだよ!
そう思ったら
ズルズルズルっと、出る感覚がした


へ?……え?
ま、まさか?


ズズズズッーと吸う音がしたかと思ったら、待ちに待った鳴き声が聞こえた
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