鬼部長の素顔



「麻耶、おいで」


私が行けずにいると
手を差し伸べながら、呼んでくれた


一人じゃないの?


女性は驚いている感じだった
私は直斗の手を取る
カーテン越しで分からなかった人


カーディガンを羽織り
読書をしていたんだろう
手元に読みかけの本とメガネ

ストレートな髪を束ねていた
40代から50代くらいの女性



「俺の母ちゃん」


そう言った直斗の顔を
私はひっどい顔で見ていたと思う


「なっ!!」


初めて会う直斗の家族を
まさか、こんな形で会うとは思わず
思いっきり変な声が出た



「俺の彼女」


直斗はお母さんに普通に紹介する
お母さんは私の反応を見て呆れていた


「あんたね、女の人は彼の親に会うっていう心構えが必要なのよ?なーんにも説明なしに連れてきたらダメでしょ?」


あまりにも理解してくれる直斗のお母さんに私は何度も頷いてしまった
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