鬼部長の素顔



私は膝に置いてある手を握りなおした



『……誰かと…いた?』



その言葉に充は黙っていた


ほら、あれは間違いじゃなかった
じゃ、なんで?なんで私と?



「……何言ってるか、よくわからないけど……優子、俺は優子以外の女を部屋に入れたこと、ないよ?」



……もう、いいや
優子以外の女を?
そうだね、だってアレは男だったから。



『……シュン…くんって、』



私は昨日、充が発した名前を口にして
充の視線に合わせた



私が知るはずのない名前に
充はまさか、という感じで目が見開いていた
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