鬼部長の素顔


さすがに前よりは慣れたとはいえ
よりによって、こんな日に
部長と密室で二人きりは無理


多分……いや、絶対説教だよね?



「早く乗れ」


いや、さすがに無理
鬼と密室なんて無理だ


「さっさと乗れ」


鬼の声がした
やば…さすがに怒ってる


うん、女は度胸!
頑張れ私っ!


『し、失礼します』


助手席に乗りシートベルトを締めようとしたけど、うまく引っ張れない


んー、なんでよっ!


悪戦苦闘していると、腕が伸びてきた


『無理に引っ張るな』


部長がシートベルトを引っ張ってくれたけど……顔が近いっ!



鬼相手にドキドキしてる自分がいた



「ん?どうした?熱でもあるのか?」



その言葉に更に身体が熱くなる


『ない、ない、ないですっ!』


そんなドキドキも一瞬。
案の定車内は私への説教が始まった


鬼にドキドキしたなんて
やっぱりなかったことにする!!
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