Tearstaind Karanchoe

入学式では、右を見ても左を見ても知らない子だらけ。

特別人見知りでも何でもなかったけれど、たったひとり、未知の世界に投げ込めれたようなあの感覚は、耐え難いものがあった。

カチカチに硬直してしまっていたそんな時ーー


「一花ぁ!」

ハッとそちらを見て胸に広がったあの大きな安心は、後にも先にもあれ以上のものを味わえたことは無い。

明るく笑う優汰がそこには、いて。

その不思議なカリスマ性のためなのか、全く知らない子だらけのその世界の中でも、優汰は確かに自分の世界を持っていた。

押し潰されてしまいそうだった、私を救い、背中を押してくれた。

同じクラスだったことは、本当に幸運だったと思う。

あっという間に、クラスの中心になった優汰。

手を引かれ、その輪の中に入れてもらった。


嬉しかった


純粋に、ヒーローみたいだった。



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