Tearstaind Karanchoe
その年の6月
最初の定期考査
私は、渡された個別表を一目見て、思わずガッツポーズを決めた。
偶然、そばを通った優汰が小さく吹きだす。
「ん?」
ガッツポーズのものまねをしながら小さく笑ってのぞき込んでくる優汰。
それだけで、うるさく響く胸の音が、優汰に届いてしまうんじゃないかなんて、そんなことを思いながら。
「じゃん!」
と、胸を踊らせたその場所を指で示す。
「おおっ!」
なんて、驚いたり
「けっ!」
て、悔しそうにそっぽを向くそんな優汰を思い浮かべていたけれど。
次の優汰の表情はそのどれとも違った。
あ?とその大きな瞳は私の示す場所を捉えて、一度大きく見開かれた後、やわらかく細められた。
ドキッと高鳴る優汰のその表情
その口は言の葉を紡ぐ
「あぁ、とうとう負けたか?あのブタさんは?」
ケラケラと何かを思い出したかのように笑い出す優汰。
そこに、卓巳が近づいてきて、同じように笑い出す。
「あぁ、夕雨負けたか」
その瞬間
私は思わず目を閉じた。