Tearstaind Karanchoe

「ねぇ、この席、誰か来るの?」

そう問えば、

「んあ?」

アンタ知らんかったの?

と返されて

「へ?」

と、小首をかしげれば、なにやら慌てた
ご様子のたっくんが

「ぅおい!約束忘れてんな!水野!!」

そう、叫ぶ。

あっと茶目っ気たっぷりに口元を抑えるその仕草に、キュンと胸が音を立てて。

藍子ウィンクを贈られたたっくんは、諦めたように額に手を当てて、よろよろと席に座り込む。

「あっはっは!悪い悪い、青井!」

たっくんと藍子は、家が隣同士

でも、幼馴染みって訳じゃないみたいで、中学校入学と同時に建てた新居が、偶然隣だったらしい。

楓とはまた違った、姉御肌の彼女もまた、大好きな友達。


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