Tearstaind Karanchoe

ぐっと力を込めた優汰の腕の中、程よく筋肉のついたその胸元へと押し付けられる。

溢れそうになる涙を必死で堪えていれば。

「…んな顔、誰にも見せらんねぇよ」

甘く痺れる声音で囁かれる。

「んな…っ」

「ごめんな…。俺、折原に言われたこと
、鵜呑みにしてた。お前がそんなことするはずねぇって、ちょっと考えればわかったのにな。」

「不器用にも程がある、呆れる馬鹿なお前があんな立ち回りできるかっつーんだよ」

…貶された?

聞き捨てならない言葉を吐かれてるはずなのに、いつものように軽口も飛び出さなければ、頬に当たる胸元から逃れようと、手も伸ばせない。




< 239 / 266 >

この作品をシェア

pagetop