わっか




「申し訳ないですー」

必死で謝る。



「あーいいって。倒れたかわいい子をほうって置けるほど冷たくねーって。」

「あ、ほんと恐縮です。」


目にかかるくらいの長さの黒い髪の毛を、少し触りながら彼は笑った。


笑うとえくぼができて、くりくりした目がきれいに細くなる。


素直に可愛い人だな、と思った。





しかし、私には裕也という名前がわかっただけでは、まだ不安要素は消えない。




…今ここで何をしているのか。

なぜ一緒に御飯を食べているのか。



時間をつぶしがてら、というのは何のために時間を潰すのだろうか。




うーん。





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